タロットカードの描写では、人物の表情や視線を重視する
78枚のタロットデッキの中には、人物が一切描かれないカードがあります。皆様はわかりますか?
「ソード3」
「ワンド8」
「ソード4」
「運命の輪」
「月」
ですが、この点について触れておきます。

殊更に「人物」で無くても、表情・視線を描写して構いません。
「ソード4」は人物らしきオブジェが描かれていますが、これは棺桶の蓋の浮き彫りです。
しかし、これを人物と想定して読む事は一向に構いません。
「運命の輪」の場合は、人物こそ登場しませんが、
「青いスフィンクス」「赤いセト(エジプト神話の悪魔です)」「四大獣(人・獅子・雄牛・鷲)」ですね。
連想法タロットリーディング法は、自由連想も含みますから、リーダーが「青いスフィンクス」を注目したいならば、それで構いません。
ただし、条件は複数のオブジェを一緒に観察しないことです。
「運命の輪」のようなカードでは、多くのオブジェがありますが、表情や視線に着目するメソッドは、あくまでも一つに絞って下さい。
【コラム】正確にはセトは異邦の神だが悪魔じゃ無い
砂漠と異邦の神であり、キャラバンの守り神である一方で、砂嵐を引き起こしているのも彼であるとされています。

神話体系内でもっとも共通する添え名は『偉大なる強さ』。荒々しさ、敵対、悪、戦争、嵐、外国の土地などをも象徴しています。
そのため「悪魔」という見方ができるのですが。
ピラミッド文書の一つには、ファラオの強さはセトの強さであるとの記述があります。ヒクソスがエジプトを支配すると、嵐の神であることからウガリット神話のバアルとも同一視され、アスタルトおよびアナトが妻であるともされていました。
セトは性欲を象徴する神ともされ、それと関連して、セトの好物はレタスとされ、レタスに絡んだ、セトとホルスに関する逸話が残されています。これはエジプト第19王朝時代に書かれた、「ベッティ・パピルス」に記されています。
セトはジャッカル(エジプトジャッカル=オオカミ)の頭をした神であると思われているが、壁画などで表現されているセトの頭は実はツチブタのものですね。一般的に四角い両耳、先の分かれた尾(パピルスの花)、そして曲がって大きく突き出した鼻を持ち、犬、ツチブタ、ジャッカルのほか、シマウマ、ロバ、ワニ、ブタ、そしてカバなどとも結びつけられています。このため、想像上の動物(合成獣)をわざわざ作ってセトに充てた、とする説も存在しています。この正体不明な動物を英語では「セト・アニマル」と呼ぶんです。このように、様々な動物を合体させて想像上の動物を作り神に充てる例は多いわけです。
この点も異形なので「悪魔」と混同してしまう要因です。
『死者の書』の一つ、セトはアペプを殺しました。(エジプト考古学博物館蔵)
一方で、セトはその類い希なる武力から、ラーの乗る太陽の船の航行を守護する神としても信仰を受け続け、また、太陽の船を転覆を狙う、暗闇と混沌を司る悪魔神=大蛇アポピスを打ち倒すことから、軍神としても信仰されたのです。よって闘いの神という地位もあり、正確には「悪魔」とは言い難いわけです。
「王の武器の主人」という称号もあり、ファラオに武術を教える神としても信仰を受けた。
信仰の拠点はオンボスが有名で、カデシュの戦いの際にはセトの神官団の率いる軍隊がオンボスからカデシュに向けて行軍をしました。
歴代王朝のファラオは、自身がオシリスとセト二人の最強神兄弟の相続人であり、ホルスとセト、つまりは上下エジプトの地位の合体であるとして、その権威を民衆に誇示していたようです。
「月」は人物は一切登場しません。

しかし「月」の顔には表情も視線もあります。
一般的には「月」のカードは「月」自身に着目します。
また「月」には、「狼」「野良犬」「ザリガニ」が登場します。
「月」というカードの主人公は「ザリガニ」です。
「ザリガニ」の表情や視線は判別できません。
しかし、「ザリガニ」が何をしようとしているのかを想像することは可能です。
故に78枚のデッキでは、「ソード3」「ワンド8」は流石に、表情・視線で描写を特定することはできません。
さて本題です。
カードの登場人物の「表情」「視線」を観察して、連想キーワードを抽出するメソッドですね。
ここでも注意は必要です。
例えば・・・「ソード5」は全部で三人の人物が描かれています。海辺に顔を押さえている人物、海に向かってジャケットを肩に羽織って歩いている人物、一際大きく描かれているソードを勝ち取った人物です。
このように複数の人物が登場する際には、絵の中に描かれている一番大きな面積の人物に焦点を当てます。
ここでも一言。
例えば、「カップ6」「ワンド4」のようなカードです。
「カップ6」は門番も見えますね。そして小さな頃の想い出として「姉」が「妹」にカップと花をプレゼントしています。
このケースでは「姉」も「妹」も主人公です。
このようなケースでは、どちらでも構いません。
「ワンド4」の場合は、元来、人物の表情や視線がわかりません。中央に手を振っている人物が二人。向かって左上の隅には宴会をしている人々がいますが、こちらも表情・視線が判別できません。
このようなケースは中央の人物に焦点当てることです。
また表情・視線は、想像してください。

では・・・表情・視線による連想方法です。
ここで「ライダー版タロットデッキ」についてですが、確かにパメラのサインもあるようにオリジナルな構図です。
ただし表情が見えにくいので、表情だけを観察するならば、ラディアント・タロット・デッキがお薦めです。
「ソード5」の主人公は、明らかに「嫌みな表情」です。「勝ち誇って」います。「威張って」もいます。「ずる賢い」「卑怯」「自分勝手」というキーワードも近いでしょう。
視線は敗者を見ていますが、明らかに「卑下」しています。
このように表情や視線で浮かび上がるキーワードをまとめてみると・・・
「嫌み」「勝ち誇る」「威張る」「ずる賢い」「卑怯」「自分勝手」「卑下する」「下に見る」・・・となりますね。
この羅列した連想キーワードの一つを選びます。
「ずる賢い」を選んだとします。
ここで相談内容を加味しなければなりません。
「私は29歳のOLです。東京の丸の内に勤めています。彼とは5年半付き合っていましたが、1ヶ月前にちょっとした喧嘩で別れてしまいました。彼と私は同じ会社で同じ部署です。彼は営業で私はアシスタントをやっています。机も迎え合わせです。彼とは2年前から同棲もしています。
彼はいつもは営業成績がTOPですが、今月はビリでした。そのため課長にお叱りを受けたようです。
ある日。彼の料理を作っているときに、彼は野球の試合をTVで観戦していました。しかし心ココにあらずと謂った感じでボーッとしているので、私は彼にこう謂ったのです。”営業なんてタイミングだよ。営業も人間の感情が左右するんでしょ!だったら、次回、頑張れば良いよ!」
すると彼は立ち上がり、”お前に営業の何がわかるんだ!お前は営業を遣ったことが無いだろう。それに5年半も付き合っている男の気持ちも分からないのか!そんな女とは付き合って入らない。別れる!”といって鍵を投げ出し出て行ってしまいました。私は彼の事をまだとても愛しています。でも彼は電話もメールも取ってくれません。どのようにしたら、彼と復縁できるのか、タロットの啓示を教えて下さい。」というような相談です。
ここで注意点は、相談内容のテーマです。
この相談内容の理解が曖昧だと、まったく不自然なタロット占いになります。
ここでは、「復縁のアドバイス」を尋ねています。
ならば「復縁の助言」を語らなければ、占い師として一銭もお金は貰えません。
そして、「ソード5」がドローされたわけですよね。
「ソード5」では「ずる賢い」というキーワードを選びました。
だったら簡単です。
「復縁するにはソード5のようにずる賢くなれ!」がアドバイスです。
ここで「復縁におけるずる賢さとは何か?」を自問自答しなければなりません。
【注意】
よく初心者の方が間違うのは、このような比較的ネガティブ寄りのカードが出ると、「ずる賢くなってはいけない」と読むケースがあります。
これは間違い。
「ソード5」は別にリバースではありませんし、わざわざ、「ソード5」の啓示を逆にするのは、タロットの意志に反しています。
これがタロットが思考の占術である所以です。
「ずる賢い」とは「ずるい」と「賢い」に分割できます。
「ずるい」とは正攻法ではダメだと謂う事です。「戦略的」「直球では無くカーブ」「頭を使う」「先を読む」・・・などと言葉が浮かぶはずです。
「賢い」は簡単ですね。「臨機応変」「応用力がある」「ことばや態度が理に適っている」「智恵がある」「知識が豊富」・・・などでは無いでしょうか?
他にも類語辞典を調べれば、どっさりとキーワードが掲載されています。
「戦略的に先を読みながら、知識を収集して彼の言葉や仕草に臨機応変に対応した言葉を使ったり行動をする」
これが、アドバイスの最初の文章です。
ここまでできれば、後は至って簡単です。
「戦略的とは?」
「先を読むにはどのようにすれば良いのか?」
「知識はどこから得るのか?」
「彼をどのように観察すれば、言葉や態度の変化がわかるのか?」
「臨機応変に自分の言葉や態度を変えるにはどのようにすべきか?」
等とまた自問自答すれば良いだけです。
ではさらに言葉を具体的にしていきます。
「彼と付き合っていた5年半の過去を思い起こして、彼が怒ったときや笑ったときなどを振り返り、彼の感情の傾向を掴み、彼の癖をあらかじめ復習して置いて下さい。彼からサインがるときが彼が何かしらの反応をするときでしょう。このような反応に対応するのならば、GoogleでもYahooでも掲示板や心理学の知識はごまんとあります。読んでみて下さい。彼に対応するための知識が得られることでしょう。また彼の癖はあらかじめ過去からの経験で整理されているのですから、言葉の端々や態度のちょっとした変化に敏感にアンテナを立てて下さい。後は、彼の反応に対して、自分はこのような言葉を使い、このような態度で接するというシュミレーションを事前にしておきましょう。そうすれば、彼は貴方への変化に気づきます。この気づきが彼の怒りを和らげ、貴方の思いが伝わるきっかけになるでしょう。」
これがタロットリーディングです。